105D57

48歳の女性。意識障害のため搬入された。付き添ってきた母親によると、うつ病の通院歴があり、熟睡できないため日本酒5合を毎晩飲んでいたという。2週前から全身倦怠感が、1週前から食思不振が出現した。昨日、友人の結婚式でワインをボトル1本一気に飲み干した後、発熱が出現した。搬入時の意識レベルはJCS II-10。身長157cm、体重65kg。体温38.2℃。呼吸数24/分。脈拍108/分、整。血圧146/92mmHg。腹部に軽度の膨満を認め、心窩部に肝を4cm触知し、圧痛を認める。左肋骨弓下に脾を3cm触知する。尿所見:蛋白(-)、糖1+。血液所見:赤血球325万、Hb 10.8g/dL、Ht 32%、白血球13,500、血小板8.7万。血液生化学所見:血糖143 mg/dL、HbA1c 6.7%(基準4.3~5.8)、総蛋白5.7 g/dL、アルブミン2.8 g/dL、総コレステロール116 mg/dL、トリグリセリド234 mg/dL、総ビリルビン2.7 mg/dL、直接ビリルビン2.2 mg/dL、AST 134U/L、ALT 98U/L、ALP 420U/L(基準115~359)、γ-GTP 757U/L(基準8~50)。CRP 2.5mg/dL。
この疾患の肝生検組織標本で特徴的にみられるのはどれか。3つ選べ
リンパ濾胞
肝細胞風船化
Mallory小体
分葉核好中球浸潤
非化膿性破壊性胆管炎

解答: b,c,d

105D57の解説

多量飲酒を繰り返しており、血液検査ではγ-GTPが高値と肝逸脱酵素の上昇も認めている。血小板やアルブミンも低値であり肝硬変の進行が示唆される。
a 好中球の浸潤が特徴的である。
b 正しい。アルコールにより肝細胞の風船化が起こる。
c 正しい。アルコール性肝炎では肝生検組織でMallory小体を認める。
d 正しい。アルコール性肝炎では好中球浸潤を認める。
e 非化膿性破壊性胆管炎は原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉でみられる。

正答率:80%

テーマ:アルコール性肝障害の病理所見

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