105C30

次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
95歳の男性。呼吸困難のため搬入された。
現病歴:咳嗽が続くため2か月前に自宅近くの診療所を受診した。胸部エックス線写真にて肺野に異常陰影を認めたため、近くの病院を紹介され、精査の結果、肺腺癌、肺内転移、骨転移および心膜転移と診断された。患者本人や家族と相談の結果、積極的治療は行わない方針となり、診療所の医師が主治医となって自宅で療養していた。昨日から呼吸困難が出現し、今朝になって増強したため、主治医に相談した上で、救急車を要請した。
既往歴:7年前に心筋梗塞。
生活歴:息子夫婦、孫2人との5人暮らし。喫煙は20本/日を20歳から50年間継続した後、禁煙している。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長160cm、体重52kg。体温37.5℃。呼吸数32/分、努力様。脈拍120/分、整。血圧72/40mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉88%。頸静脈の怒張を認める。心音に異常を認めない。両側肺底部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側下腿に浮腫を認める。
検査所見:血液所見:赤血球385万、Hb 11.0g/dL、Ht 36%、白血球9,500、血小板22万。血液生化学所見:血糖 86mg/dL、総蛋白 5.4g/dL、アルブミン 2.6g/dL、尿素窒素 24mg/dL、クレアチニン 1.1mg/dL、AST 24U/L、ALT 40U/L、LD 322U/L(基準176~353)、ALP 158U/L(基準115~359)、Na 142mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 101mEq/L。CRP 1.2mg/dL。胸部エックス線写真では原発巣の増大、心陰影の拡大および胸水の貯留を認める。心電図では洞性頻脈と低電位とを認める。
次に行う検査として適切なのはどれか。
心臓カテーテル検査
経胸壁心エコー検査
気管支鏡検査
呼吸機能検査
縦隔鏡検査

解答: b

105C30の解説

呼吸困難を主訴とする95歳男性。胸部エックス線写真にて肺野に異常陰影を認め、精査の結果、肺腺癌、肺内転移、骨転移および心膜転移と診断された。血圧72/40mmHgと低く、両側肺底部にcoarse cracklesを聴取し、両側下腿に浮腫を認める。胸部エックス線写真では原発巣の増大、心陰影の拡大および胸水の貯留を認める。心電図で低電位であることから、現病歴を併せて心膜転移を起因とする心タンポナーデを疑う。
a 心臓カテーテル検査は虚血性心疾患を疑う際に行う検査であり、また侵襲的な検査である。
b 正しい。経胸壁心エコー検査で心嚢水の量や穿刺できるかといった状態の評価を行う。
c 気管支鏡検査は中枢側の肺癌の精査などに用いる。
d 呼吸機能検査は閉塞性疾患や拘束性疾患の鑑別に用いる。
e 縦隔鏡検査は縦隔腫瘍などに行う。

正答率:88%

テーマ:【長文1/2】呼吸困難を訴える患者への初期対応

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし