105A46

48歳の女性。尿検査の異常を主訴に来院した。2年前に健康診断で尿検査の異常を指摘されたが、受診しなかった。今年の健康診断でも同じ異常を指摘されたため精査目的で来院した。身長160cm、体重60kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧142/84mmHg。口蓋扁桃の腫大、発赤および白苔の付着を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。四肢に浮腫を認めない。尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血3+、尿蛋白1.8g/日。血液所見:赤血球380万、Hb 11.2g/dL、Ht 34%、白血球6,600、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.8g/dL、IgG 1,560mg/dL(基準739~1,649)、IgA 360mg/dL(基準107~363)、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン1.4mg/dL、尿酸8.5mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 104mEq/L。免疫学所見:CRP 0.3mg/dL、抗核抗体陰性。腎生検のPAS染色標本(A)、蛍光抗体IgA染色標本(B)及びC3染色標本(C)を別に示す。
この患者に対する治療方針として適切でないのはどれか。
蛋白制限
抗血小板薬投与
ステロイドパルス療法
非ステロイド性抗炎症薬〈NSAID〉投与
アンジオテンシン変換酵素阻害薬投与

解答: d

105A46の解説

中年女性の感染症状を伴った尿検査異常である。尿蛋白1.8g/日、アルブミン3.8g/dlであることからネフローゼ症候群の診断基準を満たしておらず、潜血3+であることから血尿メインであることが分かる。Aでは毛細血管周囲のメサンギウム基質の増殖を、BではIgAのびまん性沈着を、CではC3のびまん性沈着をそれぞれ認める。「口蓋扁桃の腫大、発赤および白苔の付着を認める」という病歴からは溶連菌感染症後急性糸球体腎炎も考えうるが、感染症状が先行していないこと、中年女性であることより糸球体腎炎は否定的であり、検査所見と画像所見からみてもIgA腎症の診断となる。
a~c IgA腎症の治療として有用である。
d 誤り。非ステロイド性抗炎症薬〈NSAID〉は腎症を悪化させる。
e 血圧142/84mmHgであり血圧コントロールは必要である。

正答率:69%

テーマ:IgA腎症の治療

フォーラムへ投稿

関連トピック