104E61

次の文を読み、61~63の問いに答えよ。
17歳の男子。言動の変化を心配した両親に伴われて来院した。
現病歴:1年ほど前から高校を休みがちになり、1日中自分の部屋で過ごすことが多くなった。朝はなかなか起きず、昼過ぎになりやっと起きてくる。母親が声をかけると「うるせえな」と反抗的になった。1か月前から、わけもなくニヤニヤすることや、「ちくしょう」、「ばかやろー」などと急に叫ぶことが増えてきた。身なりも不潔になり、入浴もしなくなった。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:同胞2人の二男として出生。精神運動発達に異常を認めず、手のかからない子供であった。中学校までは明るい生徒で成績も優秀だった。高校入学後は課外活動をせず、成績は徐々に下がってきた。
家族歴:母方の叔父が精神科病院に入院中である。
現 症:意識は清明。身長175cm、体重63kg。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧112/68 mmHg。表情は硬く、緊張が強い。自発的に話をすることはなく、質問に対する返答に時間がかかり、答えも短い。時々一点を見つめたまま反応がなくなることがある。また、聞き耳を立てるような動作も認める。神経学的所見に異常を認めない。
入院治療を勧めると、「死んだほうがましだ」と叫んで興奮し入院を拒否して帰宅を申し出た。
対応として適切なのはどれか。
直ちに応急入院させる。
患者の意思を尊重して帰宅させる。
任意入院の手続きをとり入院させる。
両親の同意を得て医療保護入院させる。
裁判官の判断に基づいて措置入院させる。

解答: d

104E61の解説

「わけもなくニヤニヤ」、「急に叫ぶ(幻視や幻聴が考えやすい)」といった情報からは統合失調症を疑う。「表情は硬く、緊張が強い」「時々一点を見つめたまま反応がなくなることがある」といった所作からは緊張病が考えやすい。
a 両親に伴われて来院しており、まずは医療保護入院を考える。
b 入院治療を勧めており、医師は入院の必要性を要すると判断したと考えられる。帰宅させるわけにはいかない。
c 入院を拒否しており、任意入院は不可。
d 正しい。両親の同意を得て医療保護入院させるのが最も現実的である。
e 自傷他害の恐れは読み取れず、措置入院は適応とならない。また、そもそも判断するのは裁判官ではなく精神保健指定医(ないし届出先としての都道府県知事)である。

正答率:97%

テーマ:【長文1/3】統合失調症疑い患者への初期対応

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