104D59

58歳の男性。言動を心配した妻に伴われて来院した。50歳時に手指振戦が出現しParkinson病と診断されてL-dopaによる治療が開始された。56歳時には、身体の硬さが気になってL-dopaの増量を医師に懇願し、どんどん増量された。1年前ころから、「自分が心で考えていることをテレビに出ている人が察知している」と思いはじめ、被害的な内容の幻聴が聞こえ出した。会社は休みがちとなって自ら退職したが、気分は高揚してパソコンにかじりつき、昼夜逆転の生活になった。インターネットに没頭して高額の物を購入する。性的欲求が亢進して妻に迫るようになり、拒まれると怒り出す。
対応として適切なのはどれか。
抗不安薬を投与する。
抗てんかん薬を投与する。
抗コリン薬を大量投与する。
非定型抗精神病薬を投与する。
L-dopaの投与を直ちに全量中止する。

解答: d

104D59の解説

L-dopa大量服用による統合失調症様症状。考えられる処置としては原因薬剤の減量または拮抗薬の投与であるが......。
a・b 現病態とは関係がない薬剤である。
c Parkinson病の振戦には有効。今回は統合失調症様症状へ対応したいため、無効(コリン作用の減弱により、むしろ病状が悪化しかねない)。
d 正しい。統合失調症の治療薬を用いる。
e L-dopaの減量は考えうる対処である。しかし「直ちに全量中止」と極端な変更を行うと、悪性症候群を呈する恐れがあるため不適切。

正答率:85%

テーマ:ドパミン作動薬による精神症状が出現した場合の対応

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