104F20

76歳の女性。一過性意識障害と四肢冷感とを主訴に来院した。2日前に前頸部に突然痛みが出現し、その後胸痛が加わったため早めに就寝した。背部痛で一時覚醒したが、翌朝には胸痛と背部痛とは軽減していた。かかりつけの診療所を受診し、高血圧に対してβ遮断薬を処方された。本日の午前3時ころ排尿後に約5分間意識消失した。意識回復後、四肢冷感と倦怠感とが持続したため、午前10時独歩で受診した。52歳時に高血圧症、74歳時に糖尿病を指摘されている。意識は清明。体温35.8℃。脈拍72/分、整。血圧104/80mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%。胸部と腹部とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。血液所見:赤血球418万、Hb 12.7 g/dL、Ht 40%、白血球9,300、血小板13万。血液生化学所見:血糖229 mg/dL、尿素窒素23 mg/dL、クレアチニン1.0 mg/dL、AST 98 U/L、ALT 50 U/L、LD 526 U/L(基準176~353)、ALP 189 U/L(基準115~359)、CK 215 U/L(基準30~140)、CK-MB 15 U/L(基準20以下)、Na 135 mEq/L、K 4.8 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 2.1 mg/dL。胸部エックス線写真(A)と12誘導心電図(B)とを別に示す。
次に行うのはどれか。
胸腹部造影CT
経胸壁心エコー検査
心臓カテーテル検査
運動負荷心電図(ダブルマスター試験)
Shellong試験(起立性低血圧誘発試験)

解答: a

104F20の解説

一過性意識障害と四肢冷感を主訴とする76歳女性。2日前に前頸部痛と胸痛、背部痛を認めたことから、大動脈解離を疑う。胸部エックス線写真では左第1弓の突出と心拡大を認めている。心電図では明らかなST変化は認めない。
a 正しい。一過性意識消失は脳虚血の症状であり上行大動脈解離の可能性が示唆される。
b 経胸壁心エコー検査で虚血性心疾患の評価や、上行大動脈解離に伴う大動脈弁閉鎖不全症の有無、上行大動脈でのflapの有無の評価を行うことはできるが、確定診断はできず強く疑う場合はaを優先する。
c 心臓カテーテル検査は虚血性心疾患を強く疑う場合に行う。
d 運動負荷心電図(ダブルマスター試験)は狭心症を疑う際に行う。
e 起立性低血圧ではないため不要。

正答率:54%

テーマ:大動脈解離の検査

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