104D24

75歳の男性。一昨日から持続する前胸部痛と呼吸困難とを主訴に来院した。前胸部痛出現後も通常の生活を送っていた。高血圧の既往がある。12誘導心電図(A)と胸部エックス線写真(B)とを別に示す。
合併する病態として考えにくいのはどれか。
心破裂
房室ブロック
前壁の運動低下
僧帽弁閉鎖不全
大動脈弁閉鎖不全

解答: e

104D24の解説

一昨日から持続する前胸部痛と呼吸困難を認める75歳男性。心電図ではV1~5で著明なST上昇を認め、前壁の心筋梗塞が疑われる。胸部エックス線写真では心拡大と、肺うっ血を呈しており、心筋梗塞に伴う心不全と診断される。
a あらゆる場所の急性心筋梗塞でリスクとなる。特に心筋梗塞発症直後~2週間ほどが起こりやすい。
b 右冠動脈には房室枝が分岐しているため、房室枝が梗塞に関与すると房室ブロックとなることがある。本症例は左冠動脈前下行枝が疑われるが、可能性としてはゼロではない。
c 前壁の梗塞のため、前壁の運動は低下する。
d 乳頭筋のうち前乳頭筋は前下行枝と回旋枝の二重支配であり、本症例は前下行枝の梗塞のため、乳頭筋断裂を来す可能性はある。ただし乳頭筋断裂は圧倒的に後乳頭筋を支配する右冠動脈の梗塞時に生じやすい。
e 誤り。大動脈弁閉鎖不全は上行大動脈解離での合併症である。

正答率:61%

テーマ:心筋梗塞の合併症

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし