103H6

高血圧の患者を診察中「私は血圧が高いほど調子がいいのです」という発言がみられた。
対応として最も適切なのはどれか。
別の話題に変える。
患者の発言を否定する。
通院を継続するかを確認する。
高血圧の合併症について説明する。
発言の根拠となる情報を聴取する。

解答: e

103H6の解説

「私は血圧が高いほど調子がいいのです」という発言は医学的に照らすとナンセンスである。が、それを頭ごなしに否定しても始まらない。医師はあくまで患者の自己決定権を尊重し、医療面におけるアドバイザー的役割を担うべきである。
a 逃避的態度であり、不適切。
b 頭ごなしに否定しても患者を不快にさせるだけである。
c 通院を拒否しているわけではない。見当外れな対応である。
d いささか悩ましいが、合併症を説明して脅迫しても仕方がない。「高血圧がどうして身体に悪いか説明する」なら正答となる余地がある。
e 正しい。本人の解釈モデルを聴取する中で、適切なアドバイスを行う。
※本稿執筆者は過去に「塩分は高血圧のリスクではない」と言い張る患者と対峙したことがある。本問のeに習って発言の根拠となる情報を聴取してみた。「塩分過多のイヌイットには高血圧がいない」「熱中症では電解質の補充が有効だから、むしろ塩分は多めが理想」「テレビ番組ではコラーゲンと糖が接着することで動脈硬化となり、これが高血圧の原因と言っていた」......出るわ出るわ、別にカンペを見るわけでもなく、立て板に水でスラスラ宣うのだ。医師である私はどうしたかって? 「そうなんですか。それでは私が誤解していたのかもしれませんね!」と逃避的態度で話題を変えた(まさしく本問のa)。医師国家試験で得点はもらえないかもしれないが、実臨床の場ではこうしたオトナな対応が必要となることもある。

正答率:84%

テーマ:解釈モデルについて

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