103D40

36歳の男性。息切れと疲労感とを主訴に来院した。2年前から労作時の息切れを自覚していた。意識は清明。脈拍84/分、整。血圧112/72 mmHg。胸部聴診でIII音を聴取するが、心雑音は聴取しない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。胸部エックス線写真での心胸郭比66 %。心エコー図を別に示す。
この患者の予後を改善するのはどれか。2つ選べ
強心薬
α遮断薬
β遮断薬
カルシウム拮抗薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬

解答: c,e

103D40の解説

労作時息切れを主訴とする36歳男性。胸部聴診でIII音を聴診し、胸部エックス線写真では心拡大を認める。心エコー図では左室拡張と収縮能の低下を認めており、拡張型心筋症〈DCM〉と診断する。
a 強心薬は予後を改善する報告はない。
b α遮断薬は降圧薬や前立腺肥大症の治療薬として用いる。DCMの予後改善効果はない。
c 正しい。β遮断薬は低心機能例において心筋酸素需要を減らすことで予後が改善する。
d カルシウム拮抗薬は降圧薬や抗不整脈薬であるが、DCMの予後を改善する報告はない。
e 正しい。DCMのような低心機能例において、アンジオテンシン変換酵素阻害薬はリモデリングを防止して心保護効果を認めるため、予後改善効果を見込める。

正答率:80%

テーマ:拡張型心筋症〈DCM〉の予後を改善する薬剤

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