103D23

40歳の男性。発熱と湿性咳嗽とを主訴に来院した。体温39.5℃、白血球21,000(桿状核好中球14%、分葉核好中球62%)。CRP 14.2mg/dL。胸部エックス線写真で肺炎像を認める。抗菌薬の点滴投与を開始したところ、口唇のしびれ、皮膚の紅潮と掻痒感、冷汗および呼吸困難が突然出現した。意識は清明。脈拍124/分、整。血圧78/50mmHg。心雑音はない。両肺でwheezesを聴取する。
治療に用いないのはどれか。
ドブタミン
ベラパミル
アミノフィリン
ヒドロコルチゾン
マレイン酸クロルフェニラミン

解答: b

103D23の解説

発熱と湿性咳嗽とを主訴とする40歳男性。肺炎に対して抗菌薬を開始したところ皮膚の紅潮と掻痒感、冷汗および呼吸困難が突然出現した。血圧78/50mmHgと低値であり、アナフィラキシーショックと診断する。
a ドブタミンはカテコラミンであり強心作用を有する。血圧低下がある本患者では昇圧に貢献する可能性はある。しかしながら、アナフィラキシーショックの病態の本質は血液分布の不均等にあり、中枢に還流していない血流を心収縮力増強により拍出することは難しい(いわゆる"空打ち")。ゆえに絶対に用いるべき薬剤とは言い難いが、bが明らかな正答であるため、ここでは正答を譲ることとする。
b 誤り。ベラパミルはCa拮抗薬であり、血管拡張による降圧作用を有する。ショック状態に投与すると更なる病態悪化をきたしうる。
c 気管支拡張作用を有し喘鳴に有効。
d ステロイドであり、即効性はないが、遅発症状を予防する効果がある。
e H1受容体拮抗薬であり、アレルギー反応を抑制する。

正答率:82%

テーマ:アナフィラキシーショックの治療薬

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