103C24

57歳の男性。今朝から始まった肉眼的血尿を主訴に来院した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は20本/日を37年間。意識は清明。身長163 cm、体重60 kg。体温36.2 ℃。脈拍72/分、整。血圧136/84 mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸診で前立腺はくるみ大で、硬結と圧痛とを認めない。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1視野、白血球5~10/1視野。血液所見:赤血球486万、Hb 15.2 g/dL、Ht 45 %、白血球6,300、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL、アルブミン4.5 g/dL、尿素窒素20 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL、尿酸7.1 mg/dL、AST 26 U/L、ALT 18 U/L、LD 258 U/L(基準176~353)、ALP 212 U/L(基準115~359)、Na 143 mEq/L、K 4.6 mEq/L、Cl 104 mEq/L。免疫学所見:CRP 0.2 mg/dL、PSA 1.2 ng/dL(基準4.0以下)。
対応として適切なのはどれか。
輸液
経過観察
抗菌薬投与
膀胱鏡検査
前立腺針生検

解答: d

103C24の解説

無症候性肉眼的血尿は膀胱癌のキーワードである。血尿の鑑別では悪性腫瘍の他に各種尿路感染症や尿管結石も考えられるが、バイタルや血液検査所見に異常を認めないことから悪性腫瘍が最も疑われる。
a 尿管結石に対する加療である。排尿を促すことで排石を期待する。
b 血尿は精査が必要である。
c 感染症であれば正しいが、発熱はなく尿検査も採血も白血球の上昇はみられないため否定的である。
d 正しい。膀胱癌には形態分類があり、膀胱鏡を用いると直接観察できるため非常に有用である。
e 前立腺癌でも血尿を認めることがあるが、直腸診で石様硬で表面不整な前立腺を触れておらずPSA値も正常であるため否定的である。

正答率:85%

テーマ:膀胱癌疑いの患者に行うべき検査

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