103I70

68歳の女性。うつ気分と左半身の脱力感とを主訴に来院した。2年前から左手足の動かしにくさが出現した。次いで、うつ的となり意欲も低下してきた。近医を受診しうつ病と診断され治療を受けた。その後、左手足の脱力感が増強した。糖尿病と肺気腫との既往がある。意識は清明。体温36.0 ℃。脈拍80/分、整。血圧は仰臥位で150/86 mmHg、起立位で112/60 mmHg。表情と自発性に乏しい。見当識と認知機能とに異常を認めない。発語は小声で、左上下肢に固縮、両側上肢に軽度の企図振戦を認める。四肢の腱反射は低下しているが、左右差を認めない。歩行は失調性である。血液所見と尿所見とに異常を認めない。頭部単純MRIのFLAIR像を別に示す。
考えられるのはどれか。
Pick病
Parkinson病
線条体黒質変性症
皮質基底核変性症
進行性核上性麻痺

解答: c

103I70の解説

高齢女性のうつ気分と左半身の脱力感。「表情と自発性に乏しい」「発語は小声」「固縮」といった記載からParkinsonismも読みとれる。起立性低血圧があるため、自律神経障害があることもチェックだ。頭部単純MRIのFLAIR像にて、被殻外側の線状信号がみられ、線条体黒質変性症の診断となる。
a Pick病では人格変化がみられる。
b Parkinson病単独では麻痺やMRIの変化が説明つかない。
c 正しい。上記の通り。
d 皮質基底核変性症では症状の左右差をみる。
e 進行性核上性麻痺では自律神経障害が前面に出にくい。

正答率:61%

テーマ:線条体黒質変性症の診断

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