103I66

58歳の男性。右頸部腫瘤を主訴に来院した。半年前から右頸部の腫瘤を自覚していたが放置していた。3か月前から38℃台の発熱を認め、頸部腫瘤が増大した。3か月で5kgの体重減少を認めた。右頸部に5×3cmの硬い腫瘤を触知する以外は身体所見に異常を認めない。血液所見:赤血球522万、Hb 14.8g/dL、Ht 48%、白血球8,800(桿状核好中球3%、分葉核好中球53%、好酸球2%、好塩基球1 %、単球5 %、リンパ球36%)、血小板29万。血液生化学所見:総蛋白7.8g/dL(Alb 62.4%、α1-グロブリン2.8%、α2-グロブリン7.4%、β-グロブリン9.5%、γ-グロブリン17.9%)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、尿酸7.5mg/dL、総コレステロール130mg/dL、AST 24U/L、ALT 32U/L、LD 530U/L(基準176~353)。CRP 2.4mg/dL。頸部腫瘤生検H-E染色標本を別に示す。
治療方針の決定に必要なのはどれか。3つ選べ
血清免疫電気泳動
リンパ節細胞表面抗原検査
ツベルクリン反応
脳脊髄液検査
骨髄生検

解答: b,dまたはb,eまたはd,e

103I66の解説

中高年男性の右頸部腫瘤。発熱や体重減少といったB症状もみられている。診断の決め手は画像であろう。頸部腫瘤生検H-E染色標本にて大型のリンパ球増生がみられる。悪性リンパ腫の診断。
a 血清免疫電気泳動は多発性骨髄腫〈MM〉など血漿蛋白異常疾患に有用。
b 正しい。リンパ節細胞表面抗原検査により増殖しているリンパ球の種類を判別可能。これにより使用可能な抗癌剤など決定できる。
c ツベルクリン反応は結核やIV型アレルギーに関する検査であり、無効。
d △。脳脊髄液検査はおそらく出題者の意図した正答ではあるまい。が、中枢神経浸潤(臨床的頻度は低いのだが)がみられたケースでは広がりの評価に使えないこともない。物言いがついたのだろう、本選択肢も正解となった。
e 正しい。骨髄への広がりを評価すべく行う。
※出題時、2つ選ばせるタイプの問題であったが、厚労省より正答が3つあることが公表された。

正答率:61%

テーマ:悪性リンパ腫の治療方針決定に必要な検査

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