103G56

3歳9か月の男児。下肢の変形を主訴に来院した。母親の妊娠・出産歴に特記すべきことはない。家族歴に低身長や骨変形はない。生後3か月からアトピー性皮膚炎があり、生後12か月から母親の友人の勧めで、乳製品、卵、大豆および魚を摂取させていない。2歳半ころから下肢の変形と歩行の異常とに気付いていた。身長87 cm、体重13.4 kg。下肢エックス線写真を別に示す。
血清で高値が予想されるのはどれか。2つ選べ
リン
ALP
25-(OH) D3
副甲状腺ホルモン
クレアチンキナーゼ〈CK〉

解答: b,d

103G56の解説

3歳9か月児の下肢の変形。なるほど確かに下肢エックス線写真ではO脚となっている。生後12か月から乳製品、卵、大豆および魚を摂取させていないとのことでCaやP、ビタミンDが不足しているのであろう。これによるくる病。
a 燐〈P〉は骨を作る成分の1つ。食事由来の摂取が低下しているため血中でも低下する。
b 正しい。CaやPを取り出すため、骨を壊すようになる。このためALPは上昇する。
c ビタミン摂取不良により活性型ビタミンDも低下する。
d 正しい。bに示す骨崩壊のきっかけは副甲状腺ホルモン分泌亢進である。これによる続発性副甲状腺機能亢進症をみる。
e クレアチンキナーゼ〈CK〉は筋原性酵素であり、本病態とは関係がない。
※食事摂取不良→Ca, P, ビタミンD低下。代償的骨崩壊→ALP, PTH上昇。左記2事項の因果関係を確実に理解していないと正答は難しい。その点から良問である。

正答率:57%

テーマ:くる病の血清検査所見

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし