102I73

75歳の女性。咳嗽と呼吸困難とが増悪したため入院した。2年前に特発性間質性肺炎の診断を受けた。1年前の急性増悪以降、現在までアザチオプリン50mg/日とプレドニゾロン15mg/日とを内服中である。1か月前から微熱、咳嗽および呼吸困難を自覚し、次第に増悪を認めた。12歳時に左胸膜炎。意識は清明。身長147cm、体重48kg。体温37.6℃。脈拍112/分、整。血圧132/64mmHg。心音に異常を認めない。胸部背面にcoarse cracklesを聴取する。血液所見:赤血球314万、Hb 9.8g/dL、Ht 29%、白血球7,400、血小板33万。血液生化学所見:血糖159mg/dL、総蛋白4.7g/dL、アルブミン2.4g/dL、尿素窒素10.4mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、AST 12U/L、ALT 9U/L、LD 217U/L(基準176~353)、ALP 182U/L(基準260以下)。免疫学所見:CRP 12.8mg/dL、KL-6 1,020U/mL(基準500未満)。胸部エックス線写真(A)、胸部単純CT(B)及び喀痰のZiehl-Neelsen染色標本(C)を別に示す。
対応として適切なのはどれか。2つ選べ
患者隔離
嫌気性菌培養
プレドニゾロン増量
PCR法による菌の同定
ペニシリン系抗菌薬投与

解答: a,d

102I73の解説

75歳女性が咳嗽と呼吸困難のため入院した。特発性間質性肺炎〈IP〉の治療中である。IPの増悪かと思いきやcoarse cracklesを聴取し、CRPの上昇も認める。さらには胸部エックス線写真では右肺野に浸潤影を認め、胸部単純CTにてすりガラス様陰影の他に右肺に空洞形成を伴う浸潤影を認めることからIPの増悪ではなさそうだ。喀痰Ziehl-Neelsen染色陽性であることから、抗酸菌症であると判断しよう。IPの治療であるステロイドや免疫抑制薬の内服により免疫機能が低下していること、胸膜炎の既往があることも結核を裏付ける根拠となる。
a 正しい。現時点では抗酸菌症であることしか言えないため、結核かどうかはPCRや抗酸菌培養結果を待つこととなる。それまでの間は結核に準じて対応する。空気感染予防のため患者を陰圧室に隔離する必要がある。
b 嫌気性菌による肺炎であれば、急性発症であるため1か月前からの症状であることは合点がいかない。また、高熱や白血球の上昇も認めるはずである。
c 感染の増悪を助長させるため増量してはならない。
d 正しい。PCR法による菌の同定を行い結核の確定診断を行う。
e 一般細菌に対する抗菌薬は無効。

正答率:89%

テーマ:結核感染を疑った入院患者への対応

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