102I61

生後2日の新生児。哺乳不良と嘔吐とが出現し、診察依頼があった。在胎39週、頭位自然分娩で出生した。出生体重3,365g。生後9時間から哺乳を開始したが、生後24時間ころから哺乳不良となり、頻回の嘔吐を認めるようになった。体温37.2℃。呼吸数36/分。心拍数120/分、整。啼泣は弱く、皮膚の軽度黄染を認める。大泉門は平坦。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は軟で、肝・脾を触知しない。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.18、PaO2 88Torr、PaCO2 32Torr、HCO3- 15mEq/L。アニオンギャップ24mEq/L。
診断に有用な血液検査はどれか。
CRP
アミラーゼ
アルブミン
アンモニア
総ビリルビン

解答: d

102I61の解説

哺乳不良と嘔吐とが出現している生後2日の新生児である。動脈血ガス分析ではpH7.18、PaCO2 32Torr、HCO3-15mEq/lと代謝性アシドーシスを呈している。また、アニオンギャップ〈AG〉24mEq/lと高値であることから、代謝性アシドーシスの鑑別が問われている。
a CRP体温37.2℃、心拍数120/分と正常であり、炎症や感染症は考えにくい。
b アミラーゼは代謝性アシドーシスには関与しない。
c AG開大性ではアルブミンは関与しない。なお、アルブミンは血液中で陰イオンとして存在するので、低アルブミン血症ではAGは減少するため補正する必要がある。
d 正しい。AG開大性の代謝性アシドーシスでは、有機酸代謝異常症やケトン体代謝異常症を念頭に置き、高アンモニア血症の有無を測定する必要がある。
e 生後2日の新生児であることから生理的黄恒の時期であり、皮膚黄染も軽度とあるので核黄恒も考えにくい。
※AG上昇の代謝性アシドーシスを呈した生後2日の新生児で何を考えるか? という漠然とした出題。正直細かすぎる領域であるため、「代謝領域を極めよう!」という学習者以外は「新生児で代謝性アシドーシスをみたら、アンモニアも一応測っとくか」くらいの理解で十分かと思われる。

正答率:46%

テーマ:新生児の代謝性アシドーシス(有機酸代謝異常症やケトン体代謝異常症の疑い)の鑑別

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