102I57

72歳の女性。前頸部腫瘤を主訴に来院した。40歳代から甲状腺腫を指摘されていたが特に治療は受けていなかった。2週前から前頸部腫瘤が急に増大してきた。身長158cm、体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧138/64mmHg。前頸部に横径約9cmのびまん性の甲状腺腫を触れる。甲状腺腫は硬く、表面に凹凸がある。甲状腺に圧痛は認めない。頸部皮膚に発赤を認めない。右側頸部に径1cmのリンパ節を2つ触知する。血液所見:赤血球380万、Hb 11.8g/dL、Ht 38%、白血球5,600、血小板18万。血液生化学所見:TSH 18.5μU/mL(基準0.2~4.0)、FT3 2.5pg/mL(基準2.5~4.5)、FT4 0.7ng/dL(基準0.8~2.2)。免疫学所見:抗サイログロブリン〈TG〉抗体18.8U/mL(基準0.3以下)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ〈TPO〉抗体45U/mL(基準0.3以下)。甲状腺超音波検査で右葉下部に著明な低エコー域を認める。
考えられるのはどれか。2つ選べ
亜急性甲状腺炎
慢性甲状腺炎
無痛性甲状腺炎
甲状腺濾胞癌
甲状腺悪性リンパ腫

解答: b,e

102I57の解説

高齢女性の前頸部腫瘤。TSH高値、FT3, 4の低値より甲状腺機能低下症である。抗サイログロブリン〈TG〉抗体と抗甲状腺ペルオキシダーゼ〈TPO〉抗体が高値であることから、慢性甲状腺炎〈橋本病〉を考える。慢性甲状腺炎に合併しやすい甲状腺悪性リンパ腫も考慮に入れる必要がある。
a:c・d 甲状腺機能はむしろ亢進する。
b・e 正しい。上記の通り。

正答率:50%

テーマ:慢性甲状腺炎〈橋本病〉と悪性リンパ腫の診断

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