102G52

59歳の女性。傾眠と背部痛とを主訴に来院した。5年前に左乳癌の摘出術を受けている。身長150cm、体重51kg。血圧150/88mmHg。貧血と黄疸とを認めない。表在リンパ節の腫脹は認めない。血液生化学所見:尿素窒素30.0mg/dL、クレアチニン1.6mg/dL、尿酸6.0mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 102mEq/L。腹部超音波検査で腎に異常を認めない。
血液生化学検査で必要な項目はどれか。2つ選べ
アルブミン
カルシウム
マグネシウム
総ビリルビン

解答: b,c

102G52の解説

中高年女性の傾眠と背部痛。この主訴だけからでも椎体溶解による高Ca血症を思い浮かべられねばならない。乳がんのオペ歴があるため、取り残し or 再発による椎体転移が考えやすい。
a 鉄欠乏性貧血を疑って計測するが貧血は認めないため異なる。
b・c 正しい。背部痛は骨転移による疼痛であり、骨転移では高Ca血症となる。ただし、Ca値はAlb低値の場合には補正をする必要があるため同時にAlbも計測すべき。同時にBUN上昇・Cr上昇・ALP上昇やQTの短縮も認めるためこれらも確認を。なお、高Ca血症の場合、骨転移以外に考えることは副甲状腺機能亢進症でありPTH測定も怠らないのが優れた医師。
d 高Mg血症でも傾眠や腎障害は生じるが、臨床的によくあるのは緩下剤として酸化マグネシウムを長期投与された場合である。本症例ではMgを計測する意義はあまりないだろう。
e 黄疸は認めず、肝障害による意識障害は考えにくい。溶血性貧血であればK上昇を認めるはずであり本症例では正常値の中でも低めである。

正答率:78%

テーマ:乳癌骨転移の血液生化学検査

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