102E67

次の文を読み、67~69の問いに答えよ。
76歳の男性。意識障害のため搬入された。
現病歴:1週前から食事摂取が不十分となり、隣人が心配して時々様子を見回っていた。本日、自宅で失禁状態で倒れているところを発見された。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:3年前に妻に先立たれ、一人暮らし。食事摂取は不規則で、麺類のみの食事のことが多い。日本酒3~5合を毎晩飲んでいる。
現 症:意識は昏睡。体温34.4℃。呼吸数16/分。脈拍112/分、整。血圧104/60mmHg。皮膚は乾燥しており、前胸部にくも状血管腫を認める。顔面と下腿とに浮腫を認める。瞳孔は正円同大で対光反射は遅延している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を5cm触知する。
検査所見:血液所見:赤血球314万、Hb 10.2g/dL、白血球6,700、血小板9万。血液生化学所見:随時血糖102mg/dL、HbA1c 5.2%(基準4.3~5.8)、総蛋白5.4g/dL、アルブミン2.2g/dL、尿素窒素26.0mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、総ビリルビン2.0mg/dL、直接ビリルビン1.6mg/dL、AST 162U/L、ALT 120U/L、Na 136mEq/L、K 3.5mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比60%。
最初に行う処置として適切でないのはどれか。
経腸栄養
静脈路確保
動脈血ガス分析
心電図モニタリング
膀胱カテーテル挿入

解答: a

102E67の解説

意識障害を主訴とした76歳男性。偏食傾向で飲酒歴もあり、前胸部にくも状血管腫を認める。また肝を触知し、血液検査ではAST、ALTの上昇と血小板減少、低蛋白症であることから肝硬変が進行していると考えられる。現時点の意識障害の鑑別としては、肝性脳症やビタミンB1欠乏によるWernicke脳症を含めた頭蓋内病変などが考えられる。
a 誤り。急性期であり、消化管経由の栄養は優先されない。現時点では静脈からエネルギーを投与するのが一般的である。
b 尿素窒素とクレアチニンを開大を認めており脱水を疑う。また急変時のためにも静脈路を確保することは必須である。
c 低酸素血症の有無の評価や酸塩基平衡の評価を行うことは意識障害の症例において必須である。
d 不整脈の出現に備えてモニタリングを行う。
e 尿量を確認するためにも膀胱カテーテルを留置すべきである。

正答率:83%

テーマ:【長文1/3】肝性昏睡 and/or Wernicke脳症に行う処置

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