102D43

70歳の女性。腹痛と右鼠径部の腫瘤とを主訴に来院した。半年前から時々右鼠径部の膨隆に気付いていたが放置していた。右鼠径部に3cm大の膨隆を認め、発赤と強い圧痛とを伴っている。血液所見:赤血球419万、Hb 13.0g/dL、Ht 39%、白血球12,100(桿状核好中球20%、分葉核好中球60%、好酸球2%、好塩基球0%、単球3%、リンパ球15%)、血小板19万。CK 249U/L(基準40~200)。CRP 2.5mg/dL。腹部単純CTを別に示す。
治療として適切なのはどれか。
高圧浣腸
緊急手術
鎮痛薬投与
膨隆部の穿刺
外用抗菌薬塗布

解答: b

102D43の解説

腹部単純CTにて右恥骨の腹側に腸管の脱出を認めており、右鼠径ヘルニアと診断できる。発赤と強い圧痛を認め、血液検査で炎症反応とCKが高値であることから、ヘルニア嵌頓に伴う腸管の炎症が疑われる。
a 嵌頓した状態で高圧浣腸を行うと腸管穿孔する恐れがある。
b 正しい。放置により腸管壊死が進むため緊急手術を要する。
c 手術に至るまでの間、疼痛を軽減させることは重要であるが、根本治療とはならない。正解をbに譲る。
d 穿刺は禁忌である。
e 外用抗菌薬塗布の意義はない。

正答率:97%

テーマ:大腿ヘルニアの治療

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