102B47

45歳の女性。住宅建築会社の事務職員。のどの痛みを主訴に、会社の衛生管理者に付き添われて来院した。2か月前、住宅展示場の新築住宅案内係に異動した直後から屋内の刺激臭が気になっていた。1か月前から、出勤日に限って頭痛、鼻閉感、のどの痛み及び吐き気を自覚するようになり、3日前からのどの痛みが強くなった。身長155cm、体重50kg。体温36.6℃。血圧120/60mmHg。結膜は左右とも充血し、咽頭粘膜はびまん性に発赤している。皮膚に発疹を認めない。心音、呼吸音および腹部に異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、潜血(-)。血液所見:赤沈10mm/1時間、赤血球400万、Hb 12.5g/dL、白血球8,000。血液生化学所見:AST 12U/L、ALT 6U/L。会社の衛生管理者が、勤務場所周辺での屋内化学物質濃度の測定結果を持参している。その結果は次のとおりである。測定条件:展示場の休業日に、住宅の出入り口と窓を閉めて測定。室内温度28.5℃、湿度45%。ホルムアルデヒド39μg/m3(指針値100)、総揮発性有機化合物365μg/m3(目標値400)。
衛生管理者に対して、この受診者への対応について述べる意見として適切なのはどれか。
特に措置を行わず経過をみる。
勤務場所に空気清浄器を設置する。
他の勤務場所へ配置転換を勧める。
ガーゼマスクを装着させて勤務させる。
尿中の有機化合物代謝物の測定を指導する。

解答: c

102B47の解説

異動1か月後より、出勤日に限って頭痛、鼻閉感、のどの痛み及び吐き気を自覚するようになった45歳の女性。結膜は左右とも充血し、咽頭粘膜はびまん性に発赤していることから、シックハウス症候群が疑われる。勤務場所周辺での屋内化学物質濃度の測定結果は、ホルムアルデヒド39μg/m3、総揮発性有機化合物365μg/m3であり、作業環境管理上は問題なく、アレルギーや過敏症状によるものと考えられる。
a 症状が出現しており、経過観察というわけにはいかない。
b 空気清浄器では屋内化学物質濃度を調整できない。
c 正しい。作業環境管理上は目標値以下のため、本例では他の勤務場所へ配置転換を勧めることによって症状改善を期待する。
d ガーゼマスクでは屋内化学物質を取り除くことはできない。
e ホルムアルデヒドは尿中の有機化合物代謝物によって測定できない。

正答率:66%

テーマ:化学物質への過敏症が疑われる受診者への対応

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