102I74

56歳の男性。歩行時のふらつきを主訴に4か月前に来院した。酒に酔っているかのように左右にふらふらして歩くようになり、本人は「平衡感覚がおかしい」、「視点を動かすと風景の残像がしばらく残る」、「夜になるとものが見にくい」、「字が読みにくい」などと訴えていた。食欲はあった。2か月前から喋らなくなり、意思の疎通が困難になり、一日布団の上で寝て過ごすようになった。妻が世話していたが、トイレには行かずにオムツを使っていた。今月から呼びかけに全く反応しなくなり、周囲の物に視線を向けなくなった。また体がカチカチになってきて、上半身を起こすことができなくなった。食べ物は口に押しつければ、なんとか食べることができた。るいそう、脱水、褥瘡、除皮質硬直、ミオクローヌス及び四肢深部腱反射亢進を認める。頭部単純MRIのT2強調像と拡散強調像(A、B)とを別に示す。
最も考えられるのはどれか。
多発性硬化症
神経Behçet病
Creutzfeldt-Jakob病
副腎白質ジストロフィー
MELAS(ミトコンドリア脳筋症)

解答: c

102I74の解説

中年男性の急速に進行する神経疾患。たった4か月の経過で呼びかけに全く反応しなくなっている。ミオクローヌスがここでは診断の鍵となる。Creutzfeldt-Jakob病〈CJD〉が考えやすい。画像では拡散強調像(B)にて大脳皮質〜大脳基底核における広範囲な高信号域がみられている。CJDに矛盾しない。
a 多発性硬化症では時間的・空間的多発をみる。
b Behçet病を疑わせるような、神経以外の症候がみられていない。
c 正しい。上記の通り。
d 副腎白質ジストロフィーでは文字通り、白質部分に異常がみられる。本症例のMRIでは白質ではなく、むしろ灰白質メインに異常がみられている。
e MELASでは後頭葉を中心とした病変をみる。また、難聴や知能低下など多彩な臨床像がみられる。

正答率:77%

テーマ:Creutzfeldt-Jakob病〈CJD〉の診断

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