102I56

35歳の男性。口渇を主訴に来院した。生来健康であったが、1か月前から口が異常に渇き、お茶やジュースなどを1日約5リットル飲むようになった。尿量も多く、夜間に3回以上排尿のために覚醒するので睡眠も障害されるようになった。意識は清明。身長172cm。体温36.7℃。脈拍80/分、整。血圧120/76mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。尿量4,500ml/日。血液所見:赤血球520万、Hb 14.5g/dL、Ht 48%、血小板25万。血液生化学所見:血糖85mg/dL、HbA1c 5.2%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.2g/dL、アルブミン5.2g/dL、尿素窒素24.0mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸7.5mg/dL、総コレステロール215mg/dL、AST 32U/L、ALT 28U/L、LD 220U/L(基準176~353)、Na 147mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.2mg/dL、P 4.0mg/dL。尿浸透圧:デスモプレシン〈DDAVP〉5μg点鼻投与前160mOsm/l、投与後460mOsm/l。
この患者にみられるのはどれか。
網膜の軟性白斑
視床下部の口渇中枢障害
バソプレシン受容体機能低下
5%高張食塩水負荷でバソプレシン分泌反応低下
頭部単純MRIのT1強調矢状断像で下垂体後葉の信号強度の増強

解答: d

102I56の解説

35歳男性の口渇・多飲。血糖85mg/dl、HbA1c 5.2%より糖尿病による浸透圧利尿は否定的。夜間覚醒があり、心因性多飲は否定的。残す候補は中枢性尿崩症または腎性尿崩症であるが、デスモプレシン〈DDAVP〉5μg点鼻により改善がみられているため、中枢性尿崩症の診断。
a 網膜の軟性白斑は糖尿病性網膜症でみる。
b 視床下部の口渇中枢障害があれば、そもそも口渇はない。
c バソプレシン受容体機能低下は腎性尿崩症の病態。
d 正しい。中枢性尿崩症ではADH分泌が低下しているため、5%高張食塩水負荷では反応しない。
e 頭部単純MRIのT1強調矢状断像で下垂体後葉の信号強度の消失をみる。
※「低下」を正答としている問題であり、eの増強 or 消失を確実に覚えていない受験生にとっては難問だったと思われる。

正答率:57%

テーマ:中枢性尿崩症でみられる所見

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