102H31

次の文を読み、31、32の問いに答えよ。
65歳の男性。発熱を主訴に来院した。
現病歴:1週前から咳嗽と喀痰とを認めていた。3日前から高熱となり、膿性痰が増量し、昨日から呼吸困難も増強したため来院した。
既往歴:5年前から糖尿病を指摘され、食事療法を勧められていたが放置していた。
生活歴:喫煙は30本/日を26年間。飲酒はビール大瓶1本/日を40年間。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長168cm、体重68kg。体温39.2℃。脈拍112/分、整。血圧138/96mmHg。左胸部打診で濁音を認める。心音に異常を認めない。左側の呼吸音の減弱を認める。
検査所見:尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球410万、Hb 13.0g/dL、Ht 40%、白血球13,900(好中球80%、好酸球5%、好塩基球1%、単球4%、リンパ球10%)、血小板46万。血液生化学所見:血糖125mg/dL、総蛋白6.2g/dL、アルブミン2.6g/dL、尿素窒素20.0mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 53U/L、ALT 58U/L、LD 340U/L(基準176~353)、Na 141mEq/L、K 4.6mEq/L、Cl 109mEq/L、Ca 8.4mg/dL。免疫学所見:CRP 16.9mg/dL、β-D-グルカン 6.0pg/mL(基準20以下)。胸部エックス線写真(A)と胸腔穿刺液のGram染色標本(B)とを別に示す。
この疾患にみられるのはどれか。
胸痛
嘔気
血痰
嗄声
下腿浮腫

解答: a

102H31の解説

65歳男性が発熱と呼吸困難を主訴に来院した。
左胸部打診で濁音を認め、同部位で呼吸音の減弱を認める。また、胸部エックス線写真では左下肺野の透過性が低下していることから膿胸を疑う。胸腔穿刺液からはGram陽性のブドウ房状球菌を認めることから黄色ブドウ球菌性肺炎の診断となる。糖尿病や喫煙歴のある患者は重症化しやすいこともこれを裏付ける。
a 正しい。膿胸と共に胸膜炎も合併しているため深呼吸時に増強する胸痛を認める。
b 消化管の異常ではないので、一般に嘔気は認めない。ただし、高熱による食欲不振は認める可能性はある。
c 血痰を認めるのは結核や腫瘍の場合である。胸部エックス線にて片側性に透過性が低下しているため、穿刺液培養にて細菌を認めなければ腫瘍性を疑う必要がある。
d 嗄声は反回神経の障害で起こるが、本症例ではそもそも反回神経の走行と、炎症の部位が異なるため認めない。
e 下腿浮腫は心不全を呈している時に認める可能性があるが、心不全であれば両側性に透過性が低下する。

正答率:67%

テーマ:【長文1/2】黄色ブドウ球菌性肺炎の症候

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