101G4

51歳の女性。不眠と緊張感とを主訴に来院した。2か月前、自転車で横断歩道の中ほどまで来たとき車にはねられた。同時にはねられた人が意識を失い頭から血を流しているのを見た。1週間入院したが、打撲だけで幸運だったと言われた。退院後3週ほどして、横断歩道を渡りかけたとき、急に恐怖感がよみがえった。それ以来、物音にビクッとし、何かの拍子に事故の場面が思い浮かぶようになった。なかなか寝付けず、事故の夢で目が覚めることがある。日中も緊張感が続き、時々動悸がしたり、体が汗ばんだりする。体調がすぐれない。なんとなくやる気がない。横断歩道が怖くて渡れなくなり困っている。
考えられるのはどれか。
外傷後ストレス障害
身体表現性障害
更年期障害
強迫性障害
適応障害

解答: a

101G4の解説

2か月前の交通事故を契機に不眠と緊張感がみられる中年女性。過覚醒と再体験がみられ、心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉と考えられる。
a 正しい。上記の通り。
b 身体表現性障害では実際に腹痛など身体症状が出現する。本症例でみられている動悸や発汗は過覚醒による交感神経亢進症状と考えられ、身体表現性障害とは考えにくい。
c 更年期障害を呈しやすい年齢ではあるが、交通事故のエピソードとは関係がなく、あまりに当て馬的選択肢と言えよう。
d 強迫性障害では強迫行為がみられる。
e 適応障害は除外診断的に診断する。本患者ではPTSDが最も考えやすいため、敢えて選択するものではない。

正答率:98%

テーマ:心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉の診断

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