101D35

次の文を読み、35、36の問いに答えよ。
58歳の男性。初めての人間ドックのため来院した。
現病歴:3年前から排尿に時間がかかることがあった。
既往歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長168cm、体重65kg。体温36.3℃。脈拍72/分、整。血圧146/78mmHg。胸腹部と四肢とに異常はない。直腸診で前立腺に硬結を触知する。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に異常はない。血液所見:赤血球420万、Hb 13.8g/dL、Ht 41%、白血球6,200、血小板23万。血清生化学所見:空腹時血糖102mg/dL、総蛋白7.6g/dL、総コレステロール228mg/dL、AST 58U/L、ALT 45U/L。免疫学所見:CRP 0.2mg/dL、AFP l0ng/mL(基準20以下)、CEA 2.0ng/mL(基準5以下)、PSA 3.9ng/mL。
この施設の人間ドックの統計によると、過去10年間で50歳以上の男性受診者15,000人で前立腺癌と診断された者が450人いた。この統計を検査前確率の算定に用いた。この施設のPSAの基準値は年齢毎に決められ、40~49歳2.5ng/mL以下、50~59歳3.5ng/mL以下、60~69歳4.5ng/mL以下、70~79歳5.5ng/mL以下である。前立腺癌の検査におけるPSA、直腸診および組合せ検査の感度と特異度とを調べた結果を表に示す。
検査 感度 特異度
PSA増加 0.67 0.97
直腸診異常 0.50 0.94
PSA増加または直腸診異常 0.84 0.92
PSA増加と直腸診異常 0.33 0.99
この患者が前立腺癌である検査後確率はどれか。
10%
33%
50%
75%
90%

解答: c

101D35の解説

人間ドックにて受診した58歳男性。3年前から排尿に時間がかかることがあった。直腸診で前立腺に硬結を触知し、PSA 3.9ng/ml(基準値は統計より3.5ng/ml以下)であることからは前立腺癌が疑われる。この施設の統計により、前立腺癌の有病率は450/15,000=0.03=3%である。検査結果より、感度=0.33、特異度=0.99であることから、検査後確率を求める。対象総数を100とすると、検査陽性で前立腺癌罹患あり=0.33×3=0.99、検査陽性で前立腺癌罹患なし=(1-.099)×97=0.97となるため、検査後確率=0.99/(0.99+0.97)=50.5%となり、正解は最も近いcとなる。

正答率:57%

テーマ:【長文1/2】検査後確率の算出(計算問題)

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