101A55

3か月の乳児。発熱とチアノーゼとを主訴に来院した。1か月前から肺炎として治療されていたが、軽快しないため紹介された。体温38.5℃。呼吸数38/分。栄養状態は不良である。血液所見:白血球22,000(桿状核好中球20%、分葉核好中球33%、単球9%、リンパ球38%)。血清生化学所見:IgG 1,730mg/dL(基準280~700)、IgA 60mg/dL(基準10~60)、IgM 198mg/dL(基準30~120)。CRP 4.0mg/dL。白血球のNBT〈nitroblue tetrazolium〉還元試験は陰性。胸部エックス線写真を別に示す。
この疾患について正しいのはどれか。2つ選べ
女児に多い。
ウイルス感染が重症化する。
胸腺の形成不全がある。
肉芽腫を形成する。
白血球の殺菌能が欠損している。

解答: d,e

101A55の解説

発熱とチアノーゼとを認める3か月の乳児である。肺炎は1か月前から治療されていたが軽快しておらず難治性であり、先天性の免疫不全を示唆できる。白血球増加、免疫グロブリン増加、CRP4.0mg/dlより、細菌感染や真菌感染を考える。胸部エックス線写真では右上肺野に腫瘤状陰影を認め、白血球NBT還元試験が陰性であることから、慢性肉芽腫症の診断となる。
a 慢性肉芽腫症は伴性劣性遺伝の遺伝形式をとるため、男児に多い。
b 慢性肉芽腫症は液性免疫の異常であり細胞性免疫は正常であることから、ウイルス感染が重症化することはない。
c  DiGeorge 症候群であれば胸腺の形成不全があるが、本例とは臨床像が異なる。
d 正しい。胸部エックス線写真では右上肺野に腫瘤状陰影を認めており、肉芽腫が形成されている。
e 正しい。NBT還元試験とは白血球の殺菌能をみる検査であり、陰性であることから本例では白血球の殺菌能は欠損していることが分かる。

正答率:71%

テーマ:慢性肉芽腫症〈CGD〉の特徴

フォーラムへ投稿

関連トピック