101A53

29歳の女性。2日前からの39℃台の発熱と右下腿の腫脹・疼痛とを主訴に来院した。以前から光線過敏症があった。数週前から微熱を認め、顔面に紅斑が出現している。身長164cm、体重57kg。血圧112/76mmHg。貧血と黄疸とを認めない。両頸部にリンパ節腫脹を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。右下肢全体に腫脹、発赤および把握痛を認める。両膝関節と両手関節とに腫脹と圧痛とがある。右大腿動脈と足背動脈とは良く触れる。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血1+。血液所見:赤沈77mm/1時間、Hb 10.2g/dL、白血球3,200、血小板7.1万、APTT 56.4秒(基準対照32.2)。血清生化学所見:総蛋白6.5g/dL、ALT 23U/L、AST 23U/L、LD 206U/L(基準176~353)。免疫学所見:CRP 1.0mg/dL、抗核抗体1,280倍(基準20以下)、抗DNA抗体62IU/mL(基準7以下)、CH5012.5U/mL(基準30~40)、ループス抗凝固因子陽性。
治療として適切なのはどれか。
抗菌薬投与
血小板輸血
血管拡張薬投与
副腎皮質ステロイド薬投与
非ステロイド性抗炎症薬投与

解答: d

101A53の解説

若年女性の発熱と右下腿の腫脹・疼痛。光線過敏症、微熱、顔面に紅斑(おそらくは蝶形紅斑)といった記載より全身性エリテマトーデス〈SLE〉を考える。抗DNA抗体陽性、補体低下等も矛盾しない。SLEの背景がある患者にAPTT延長やループス抗凝固因子陽性がみられていることから抗リン脂質抗体症候群〈APS〉の存在が考えられる。
a 細菌感染ではない。
b 血小板輸血をしても血栓形成を誘発するだけである。抗凝固薬投与が適切。
c 血管収縮が病態の本質ではない。
d 正しい。SLEの治療として副腎皮質ステロイド薬投与が有効である。
e 消炎鎮痛薬であるが、SLEにもAPSにも無効。

正答率:98%

テーマ:全身性エリテマトーデス〈SLE〉に対する治療

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