101A48

25歳の女性。動悸と手の震えとを主訴に来院した。2か月前から疲れやすくなり、動悸を感じるようになった。食欲は旺盛であるが体重は変化していない。汗が多く、イライラするようにもなった。10日前から安静時の手の震えを感じる。意識は清明。身長158cm、体重50kg。体温37.2℃。脈拍112/分、整。血圧156/42mmHg。眼裂は大きく、上眼瞼縁と角膜との間に強膜が認められる。う歯と歯槽膿漏とを認める。びまん性甲状腺腫を認める。血清生化学所見:総コレステロール100mg/dL、AST 30U/L、ALT 22U/L、ALP 380U/L(基準260以下)、γ-GTP 42U/L(基準8~50)、TSH 0.01μU/mL以下(基準0.2~4.0)、FT3 12pg/mL(基準2.5~4.5)、FT4 7.6ng/dL(基準0.8~2.2)。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ
β遮断薬投与
無機ヨード薬投与
サイロキシン投与
メチマゾール投与
甲状腺亜全摘術

解答: a,d

101A48の解説

25歳女性の動悸と手の振戦。食欲は旺盛、汗が多く、イライラ、眼裂は大きく(Dalrymple徴候)、上眼瞼縁と角膜との間に強膜が認められる(Graefe徴候)。う歯と歯槽膿漏、びまん性甲状腺腫などヒントが盛り沢山だ。TSH低値、FT3高値よりBasedow病の診断。
a 正しい。β遮断薬投与により交感神経亢進症状を緩和する。
b 無機ヨード薬投与も方向性として悪くはないが、一般に甲状腺クリーゼの際に行われる。
c サイロキシンは甲状腺ホルモンであり、投与にて病態はむしろ悪化する。
d 正しい。メチマゾールは抗甲状腺薬。無顆粒球症の副作用に注意。
e 甲状腺亜全摘術も方向性として悪くはないが、aやdを差し置いていきなり行う治療ではない。
※101回と古めの出題ではあるも、優先順位を問うている点で近年の問題に似ている。良問だ。

正答率:63%

テーマ:Basedow病疑いの治療

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