101A35

9歳の男児。今朝からの眼瞼浮腫と血尿とを主訴に来院した。2週前に扁桃炎で治療を受けた。体温36.5℃。脈拍96/分、整。血圧180/102mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。脛骨前面を指で圧迫すると圧痕が残る。尿所見:蛋白2+、糖(―)、沈渣に赤血球多数/1視野、白血球4~6/1視野、赤血球円柱3~5/1視野を認める。血清生化学所見:総蛋白6.4g/dL。アルブミン3.8g/dL、尿素窒素44mg/dL、クレアチニン2.3mg/dL、総コレステロール160mg/dL。免疫学所見:ASO 128単位(基準250以下)、CH50 12U/mL(基準25~35)。
治療薬として適切なのはどれか。
ヘパリン
フロセミド
ゲンタマイシン
シクロスポリン
副腎皮質ステロイド薬

解答: b

101A35の解説

2週前に扁桃炎となった後、今朝から眼瞼浮腫と血尿とが現れた9歳男児である。尿所蛋白2+、アルブミン3.8g/dlであることからネフローゼ症候群の診断基準を満たしていない。CH50 12U/mlと補体低値であり、溶連菌感染後急性糸球体腎炎を考える。ASO128単位であり、溶連菌感染自体は消退している。
a ヘパリンは抗凝固薬であり、血栓症を合併したときに用いる。
b 正しい。急性糸球体腎炎では糸球体濾過量が急激に低下し循環血液量が増大するため、利尿と降圧とを目的にフロセミドなどの利尿薬を投与する。
c ゲンタマイシンなどのアミノグリコシド系抗菌薬は、腎障害を惹起してしまう。
d シクロスポリンは免疫抑制薬であり、急性糸球体腎炎では用いない。
e 副腎皮質ステロイド薬はナトリウム再吸収を促進させ、循環血液量がさらに増大してしまうため、症状が増悪してしまう。

正答率:55%

テーマ:溶連菌感染後急性糸球体腎炎〈PSAGN〉の治療薬

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