100I8

72歳の女性。左股関節痛と歩行困難とを主訴に来院した。1年前から歩行開始時に左股関節痛を自覚し、最近では歩行時に跛行と強い疼痛とを伴うようになった。先天性股関節脱臼の既往がある。下肢長は右75cm、左74cm、大腿周径は右43cm、左41cmである。左股関節エックス線単純写真を別に示す。
考えられる疾患はどれか。
関節リウマチ
変形性股関節症
大腿骨頭壊死症
滑膜骨軟骨腫症
大腿骨頭すべり症

解答: b

100I8の解説

先天性股関節脱臼の既往がある高齢女性の股関節痛という条件から変形性股関節症は最も考えられる疾患である。さらに、エックス線写真をみると局所的な関節裂隙の狭小化や骨棘形成、骨硬化像を認め、変形性股関節症として間違いないだろう。
a 関節リウマチと変形性股関節症の鑑別はしっかり覚えておいてほしい。関節リウマチでは関節裂隙がびまん性に生じ、骨破壊像を認める。
b 正しい。症状や画像所見に矛盾しない。
c 発症初期ではエックス線にはうつらない。ある程度進んでくると、帯状硬化や骨圧潰像を確認できる。
d 名前の通り、滑膜細胞の腫瘍である。エックス線画像では関節腔に骨片を認める。アルコール性とステロイド性が多い。
e 下肢は外転位となり股関節の可動域制限を認める。エックス線写真では、通常大腿骨頸部の外側部を伸ばした線が骨頭を横切るはずが、骨頭の後下方転位により横切らない状態となる。

正答率:89%

テーマ:変形性股関節症〈OA〉の診断

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