100I26

68歳の男性。重い荷物を持って駅の階段を昇っているときに呼吸困難が生じ、意識を失って救急車で搬入された。3年前から労作時に軽度の動悸と息切れとがあり、安静によって軽快していた。脈拍64/分、整。血圧100/60mmHg。頸部に放散する4/6度の収縮期雑音を胸骨右縁第2肋間から胸骨左縁第4肋間にかけて聴取する。心臓カテーテル所見を別に示す。
この疾患で誤っているのはどれか。
突然死の原因となる。
胸痛をきたす。
左室が肥大する。
速脈を特徴とする。
二尖弁が原因となる。

解答: d

100I26の解説

労作時呼吸困難、意識障害で救急搬送された68歳男性。3年前から労作時息切れと動悸を自覚していた。頸部に放散する収縮期雑音を胸骨右縁第2肋間から胸骨左縁第4肋間にかけて聴取することから、大動脈弁狭窄症〈AS〉が疑われる。心臓カテーテル所見では左室収縮期圧〈LV圧〉が180mmHg程度、大動脈収縮期圧〈Ao圧〉が100mmHgであり、LV-Ao圧較差≧50mmHgであることから重症ASと診断する。
a 冠血流の低下や脳血流の低下により突然死の原因となり得る。
b 心拍出量の低下により相対的に虚血を呈し、胸痛を自覚する。
c 高度圧較差の補正のために、心肥大を来す。
d 誤り。ASでは小脈・遅脈である。速脈は大動脈弁閉鎖不全症〈AR〉で認める。
e 先天的な二尖弁の他に、リウマチ熱や動脈硬化(石灰化)が原因となる。

正答率:77%

テーマ:大動脈弁狭窄症〈AS〉について

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