100H9

67歳の男性。悪臭鼻漏と複視とを主訴に来院した。4か月前から悪臭鼻漏と鼻出血とを繰り返すようになり、歯痛もある。右側の眼球突出と複視とが徐々に出現し、顔貌も変形してきた。副鼻腔単純CT冠状断像を別に示す。
考えられるのはどれか。
上顎癌
上咽頭癌
副鼻腔嚢胞
慢性副鼻腔炎
歯性上顎洞炎

解答: a

100H9の解説

CTでは右上顎洞に周囲への浸潤を伴うまだらな高吸収域が存在する。上方は眼窩内へ、内側は鼻中隔を破壊し左鼻腔への進展が認められており、悪性腫瘍の所見である。
a 正しい。上顎洞癌と同義である。上顎癌は本症例のように腫瘍の進展方向によって多彩な症状を表す。低分化扁平上皮癌が最多であり治療は放射線と化学療法、手術を組み合わせる。
b 上咽頭癌は軟口蓋より上部の咽頭の癌でありEBウイルスの関連が示唆されている悪性腫瘍である。上顎癌と同様、進展方向によって多彩な症状をみせるが、上咽頭には耳管開口部があるため滲出性中耳炎を合併することが多く、さらに進展すると頸静脈孔症候群をきたすこともある。しかし、比較的深部であるため顔貌には影響しないことが多い。
c 副鼻腔嚢胞では本症例のような周囲への浸潤はみられない。また、CTでは均一な低吸収域として確認される。
d c同様、周囲への浸潤はみられない。また、CTでも比較的均一な低吸収である。
e c・d同様、周囲への浸潤はみられない。また、歯痛が症状の一番はじめにあらわれる。

正答率:86%

テーマ:上顎癌の診断

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