100F45

30歳の男性。記憶の欠損を心配した妻に付き添われ来院した。数年前から数秒間口をもぐもぐさせることがあり、本人は全く気付いていないが、妻は気になっていた。昨日妻を助手席に乗せて運転中、急に表情が変わり、車が壁に衝突した。意識は清明。身長175cm、体重69kg。血圧130/76mmHg。本人は顔面に昨日の事故で負った傷を示しながら、「全く記憶にないのです。怖くてもう車の運転ができません」と神妙に答えるのみである。
最も考えられるのはどれか。
不随意運動
逆向性健忘
解離性障害
側頭葉てんかん
睡眠時無呼吸症候群

解答: d

100F45の解説

記憶の欠損がみられる男性。「数秒間口をもぐもぐ」という記載(自動症)より側頭葉てんかん〈複雑部分発作〉の診断は容易。
a 「口をもぐもぐ」だけをとってみれば不随意運動と言えなくもないが、記憶の欠損など総合的な病態を考えるにdへ正答を譲る。
b 逆向性健忘では文字通り、何かしらのイベントより前の記憶を失う。本症例では発作中の記憶のみ損失しているため、合致しない。
c 解離性障害では記憶の喪失をみるが、一般に自動症はみない。また、除外診断的に判定される精神科疾患であり、今回はdへ正答を譲る。
d 正しい。上記の通り。
e 睡眠時無呼吸症候群では昼間の眠気に由来する交通事故を起こすことが多い。が、肥満もなく、夜間のいびきエピソード等もないため、否定的。むろん、自動症もみない。

正答率:93%

テーマ:側頭葉てんかん〈複雑部分発作〉の診断

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