100D37

次の文を読み、37、38の問いに答えよ。
68歳の男性。下腹部の痛みと尿が出ないこととを主訴に来院した。
現病歴:3年前から頻尿、残尿感および排尿困難があったが放置していた。2時間前に自宅で晩酌をしていたところ、下腹部に痛みが出現し、触ると痛みが増強した。排尿ができず、痛みも持続している。
既往歴:5年前から高脂血症を指摘されているが放置している。
生活歴:喫煙20本/日を30年間。飲酒晩酌程度。
現 症:意識は清明。身長163cm、体重65kg。体温36.5℃。脈拍100/分、整。血圧156/90mmHg。上腹部はほぼ平坦で、肝・脾は触知しない。下腹部は軽度膨隆しており、正中に腫瘤を触知し、同部に圧痛を認める。下肢に浮腫を認めない。骨盤部超音波写真(A、B)を別に示す。
この患者にまず行うのはどれか。
浣腸
導尿
酸素療法
静脈路確保
利尿薬投与

解答: b

100D37の解説

高齢男性で慢性的な頻尿・残尿感・排尿困難感があり、超音波写真では多量の尿が貯留した膀胱を認める。前立腺肥大症による尿閉と考えて間違いないだろう。
a 高齢者の下腹部痛では便秘も鑑別として考えられるが、本症例では症状や所見が合致しない。
b 正しい。まずは下腹部痛を取り除くためにも、直ちに貯留した尿を排出する。もし導尿が困難な場合は膀胱穿刺を考える。
c SpO2の記載はないが、呼吸困難感はなく気道狭窄を疑う所見もないため酸素投与は意味がない。
d 救急患者が来院した際にはどのような場合も静脈路確保が禁忌となることはないが、本患者では多量の尿貯留が確認できるため導尿が最優先である。
e 尿閉の患者の場合、膀胱内の尿量が増加し苦痛が増すだけである。利尿薬投与はしてはいけない。

正答率:95%

テーマ:【長文1/2】前立腺肥大症〈BPH〉による尿閉への対応

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