100D30

遠山○男、48歳の男性。急性骨髄性白血病と診断され、現在、寛解導入化学療法中である。昨日の血液検査では白血球1,760、血小板2.6万であった。本日午前10時ころ、心窩部痛とともに大量の吐血があり血圧が低下した。救急部と消化器内科とから医師が呼ばれ、緊急の救命処置がとられた。緊急内視鏡検査で胃潰瘍からの動脈性の出血を認め、内視鏡的に止血を試みたが、充分な止血が得られなかった。緊急に輸血が必要と考え、A医師によってO型Rh(+)赤血球濃厚液6バッグが輸血部にオーダーされた。15分後、交叉試験済みの血液6バッグが病棟に届けられ、4バッグがすぐに輸血され、2バッグは病棟の冷蔵庫に保管された。この病棟では、血液保管用冷蔵庫は4つの部分に分けられ血液ごとに分けて保管することになっていた。患者の血圧がさらに下がったため、A医師の指示で輸血が追加されることになった。冷蔵庫から輸血バッグが看護師によってベッドサイドに運ばれ、B医師によって輸液ルートにつながれた。約10分後、A医師が輸血されている輸血バッグはO型Rh(+)であるものの「遠藤△子」と記されていることに気付いて、直ちに輸血を止めた。
この事故において最も重大な過誤はどれか。
余分の血液バッグを病棟で保存した。
冷蔵庫の内部を血液型ごとに分けた。
冷蔵庫から持ち出す際に名前を確認しなかった。
輸血を指示した医師と実際につないだ医師が異なった。
輸血バッグを輸液ルートにつなぐ際に名前を確認しなかった。

解答: e

100D30の解説

a 病棟で保存したことが取り違えの原因となっている。病棟内での管理を徹底すべきだったと言えよう。ただし、最も重大な過誤とは考えにくい。
b 結果として取り違えに発展してしまったが、この仕訳によって同型のO型Rh(+)の輸血で済んでいる。この仕組自体は良好な取り組みと言える。
c 冷蔵庫から持ち出す際に名前を確認しなかったのは大きな問題だ。ただし、最も重大な過誤とは考えにくい。
d すべての過程を1人の医師が遂行することは必ずしも現実的でないことがある。過誤とはいえない。
e 正しい。これ以前にどれだけの過誤が蓄積しようと、最終チェックのこの局面で名前を確認していれば発生しなかった事故である。

正答率:82%

テーマ:医療事故における重大な過誤

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