100D26

67歳の女性。乳癌の骨転移による疼痛を主訴として入院している。この患者と担当医の会話を以下に示す。
医師①「小林さん、痛みの具合はいかがですか」
患者「来たときよりも大分ましです。ここ2週間はほとんど感じませんね」
医師②「2週間、痛みを感じないのですね」
③「ところで、一つ私から質問があるのですが、お聞きしていいですか」
患者「ええ、どうぞ」
医師「小林さんは入院されてからずっと病室で過ごされていますが、何かやってみたいことはありませんか。ここでの生活をできるだけ楽しんでいただきたいと思っているのですが、いかがでしょうか」
患者「ああ、そのことねえ。昨日も看護師さんに外泊や外出を勧められたけど、私はここでいいの。楽しくもないけど、まあまあ満足しています」
医師「まあまあ満足しているということは、十分な満足ではないのですよね」
④「もしよかったら、満足具合をもっと詳しく教えていただけませんか」
患者「そうねえ、私、昔からあまり人付き合いが好きな方じゃないのです。特別会いたいと思う友達もいないし、ホールに出て行って話したいとも思わないのです。一人で気ままにしているほうが楽しいの。それは自宅にいられたらいうことないのですが、今まで家で療養していて、家族に負担をかけていたので、少し休養させてあげたいんです。私も家族に気兼ねしながら自宅にいるより、一人でここにいるほうが、気が楽だしね。だから、今の状態で、まあまあ満足なんですよ」
医師⑤「なるほど、人付き合いがお好きじゃないし、外泊するよりも、今はここに一人でいるほうが、気が楽なのですね」
正しいのはどれか。
①は痛みに限定した閉じられた質問〈closed question〉になっている。
②は患者の解釈モデルを確認している。
③は良い医師患者関係が成立していないことを示している。
④は患者の本当の気持ちを聞き出そうとしている。
⑤は聞き間違いがないかどうかの医師の不安感を示している。

解答: d

100D26の解説

a ①は「いかがですか」という開放的質問〈open-ended question〉になっている。
b ②は患者の発言の繰り返しである。
c ③は質問を切り出すきっかけを作っており、医師患者関係の如何は判別できない。
d 正しい。④は「満足」という主観的指標をより客観的に聴取している。本当の気持ちを聞き出すのに有効と言えよう。
e ⑤は患者の発言の要約である。

正答率:78%

テーマ:医療面接の技法

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