100D22

72歳の女性。屋内で尻もちをついた直後から腰部に激しい痛みを生じ、歩行困難となり搬入された。身長151cm、体重55kg。体温36.8℃。腰部に強い叩打痛を認める。血液所見:赤血球390万、白血球5,400。血清生化学所見:AST 25U/L、ALT 28U/L、ALP 280U/L(基準260以下)、Ca 9.1mg/dL、P 3.1mg/dL。CRP 0.4mg/dL。腰椎エックス線単純写真側面像を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
腰椎椎間板ヘルニア
骨粗鬆症
転移性腫瘍
大動脈解離
腰椎症

解答: b

100D22の解説

高齢女性の尻もち。受傷機転から真っ先に考えるべきは大腿骨骨折であるが......。
a 痛みの契機は明確であり、叩打痛も認めるため椎間板ヘルニアは考えにくい。また、ヘルニアでみられるはずの神経根症状やLasègueテストの所見などの記載がないため最も考えられる選択肢とは言えないだろう。
b 正しい。側面のエックス線写真では楔状椎を認め、骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折が最も考えられる。
c 転移性腫瘍による圧迫骨折も完全には否定できないが、積極的に転移性腫瘍を考えさせる所見に欠け、bに正答を譲ることとなる。
d 本症例で大動脈解離を疑わせる所見は「激しい腰痛」だけである。腰痛の誘引がはっきりしており叩打痛を認め、解離を示すようなエコー所見やCT所見は示されていない。
e 変形性脊椎症のことをさしていると考えられる。変形性の関節症ではエックス線写真で椎間板や椎間関節の狭小化、辺縁の骨棘形成が認められるはずである。

正答率:82%

テーマ:骨粗鬆症の診断

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