100C7

次の文を読み、7~9の問いに答えよ。
66歳の男性。腹部膨満感を主訴に来院した。
現病歴:20年前から慢性肝炎の診断で近医に通院中であった。3週前から下腹部が張る感じがあり、最近増強した。この1か月で体重が5kg増加した。
既往歴:25歳の時に十二指腸潰瘍の出血で輸血を受けた。
現 症:意識は清明。身長166cm、体重60kg。体温36.7℃。脈拍76/分、整。血圧146/60mmHg。眼球結膜に黄染を認める。手掌紅斑と胸部のクモ状血管腫とを認める。腹部は全体的に膨隆し、緊満している。肝は触知せず、脾濁音界は拡大し、脾辺縁を触知する。下肢に浮腫を認める。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ウロビリノゲン2+、ビリルビン1+、潜血(-)。血液所見:赤血球380万、Hb 11.9g/dL、Ht 37%、白血球3,500、血小板6万、プロトロンビン時間67%(基準80~120)。血清生化学所見:空腹時血糖92mg/dL、総蛋白5.3g/dL、アルブミン2.1g/dL、γ-グロブリン35.5%、尿素窒素8.3mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、アンモニア42μg/dL(基準18~48)、総コレステロール130mg/dL、総ビリルビン4.7mg/dL、直接ビリルビン2.9mg/dL、AST 89U/L、ALT 45U/L、ALP 366U/L(基準260以下)、γ-GTP 392U/L(基準8~50)、Na 136mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 103mEq/L。免疫学所見:CRP 0.1mg/dL、HBs抗原(-)、HCV抗体(+)、AFP 16ng/mL(基準20以下)。腹部超音波検査では大量の腹水の貯留を認め、肝辺縁は鈍化し、表面は不整、肝実質も不均一である。結節像は認めない。
腹水の性状で予想されるのはどれか。
淡黄色透明
混濁
血性
乳び様
ゼリー状

解答: a

100C7の解説

眼球結膜に黄染を認め、手掌紅斑及びクモ状血管腫を認める。脾腫や下腿浮腫も認めており、肝硬変を疑う。腹部超音波検査では大量の腹水の貯留を認め、肝辺縁の鈍化、表面不整、肝実質も不均一であり肝硬変に矛盾しない所見である。過去に輸血歴もあり、HCV抗体(+)であることから、慢性C型肝炎による肝硬変と考えられる。
a 正しい。肝硬変による腹水の所見で矛盾しない。
b 混濁した腹水は特発性細菌性腹膜炎などの細菌感染症が疑われる。
c 血性の腹水は癌性腹水で認めるが、本症例では悪性疾患を疑う所見はない。
d 乳び様腹水はリンパ管閉塞を来す際に認める。
e ゼリー状の腹水は腹膜偽粘液腫で認める。

正答率:90%

テーマ:【長文1/3】予想される腹水の性状

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