100A51

25歳の男性。作業中に建造物が倒れ、下半身が約12時間下敷きになり、救出後、直ちに搬入された。入院時バイタルサインは安定していたが、両下肢の強い疼痛、腫脹および圧痛を認めた。骨盤と下肢とに骨折はなく、両側足背動脈は触知可能であった。入院翌日から尿が赤褐色となってきた。
この時点でみられるのはどれか。
血小板の減少
尿中の脂肪滴
筋区画内圧の上昇
皮膚血流の増加
血清カリウムの低下

解答: c

100A51の解説

下半身が約12時間下敷きになり、救出された25歳男性。両下肢の強い疼痛、腫脹および圧痛を認めている。長時間下敷きになっていた後に赤褐色尿を認め、クラッシュ症候群である。筋区画内圧が上昇し、コンパートメント症候群を呈している可能性が高い。
a 播種性血管内凝固〈DIC〉を合併したケースでは血小板低下をみる可能性があるが、あくまで「この時点で」と断っており、誤りと判定することとなる。
b 尿中の脂肪滴は骨盤骨折などで脂肪塞栓症候群を来した際にみられる所見。
c 正しい。筋肉損傷により筋区画内圧が上昇し遠位部が阻血となるため、減張切開を行う。
d 腫脹が進むと遠位部の血流が低下するため、皮膚血流も低下する。
e 横紋筋が融解することで細胞内カリウムが血管内に入るため血清カリウムは上昇する。クラッシュ症候群では高カリウム血症による不整脈に注意する。

正答率:80%

テーマ:コンパートメント症候群〈区画症候群〉の検査所見

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