100A43

61歳の女性。3か月前から乳頭緊満感を認め、1か月前から少量の性器出血が持続するため来院した。閉経51歳。腟分泌物は白色、中等量で、子宮腟部に異常を認めない。子宮はやや大きく、左付属器部に手拳大の軟らかい腫瘤を触知する。子宮頸部細胞診クラスI、子宮内膜細胞診陰性。血液所見に異常を認めない。血清生化学所見:FSH 15mIU/mL(基準 閉経後30以上)、エストラジオール84pg/mL(基準 閉経後20以下)。免疫学所見:CEA 1.5ng/mL(基準 5以下)、CA19-9 14U/mL(基準 37以下)、CA125 38U/mL(基準 35以下)。経腟超音波検査で左付属器腫瘤は大部分充実性で内部に大小の嚢胞を多数認める。骨盤部単純MRIのT1強調像(A)とT2強調像(B)とを別に示す。
最も考えられるのはどれか。
卵巣漿液性腺癌
卵巣顆粒膜細胞腫
卵巣未分化胚細胞腫
子宮体癌の卵巣転移
Krukenberg腫瘍

解答: b

100A43の解説

3か月前から乳頭緊満感を認め、1か月前から少量の性器出血が持続する61歳の女性である。腟分泌物は白色、中等量であり子宮はやや大きく、左付属器部に手拳大の軟らかい腫瘤を触知する。血清生化学所見ではFSH低値、エストラジオール高値となっており、CA125も軽度高値である。A、B、MRIにて大部分充実性で内部に大小の嚢胞を多数認める腫瘤がみられ、卵巣顆粒膜細胞腫の診断となる。
a 卵巣漿液性腺癌ではエストラジオールなどのホルモン産生はなく、臨床所見と一致しない。
b 正しい。上記の通り。
c 卵巣未分化胚細胞腫では充実性の腫瘤となるため、本例とは画像所見が異なり、ホルモン動態からも否定的である。
d 子宮内膜細胞診にて陰性であり、卵巣転移は考えにくい。
e Krukenberg腫瘍は胃癌からなどの転移性腫瘍であるが、原発巣の既往に乏しく否定的である。

正答率:71%

テーマ:卵巣顆粒膜細胞腫の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし