100A32

72歳の男性。数日前からの発熱、急速な腹囲の増大および腹痛を主訴に来院した。5年前から肝障害を指摘され通院中である。意識は清明。体温38.7℃。脈拍96/分、整。血圧112/68mmHg。眼球結膜に軽度黄染を認める。手掌紅斑とクモ状血管腫とを認める。腹部は全体に膨隆し、全体に圧痛と反跳痛とを認める。血液所見:赤血球388万、Hb 11.8g/dL、白血球8,600、血小板7万、プロトロンビン時間13秒(基準10~14)。血清生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン2.6g/dL、尿素窒素59mg/dL、クレアチニン4.5mg/dL、総ビリルビン4.4mg/dL、直接ビリルビン2.4mg/dL、AST 145U/L、ALT 98U/L、Na 134mEq/L、K 3.7 mEq/L、Cl 97mEq/L。免疫学所見:CRP 15.8mg/dL、AFP 726ng/mL(基準20以下)。
検査として適切でないのはどれか。
腹水一般検査
腹水細菌培養検査
腹部超音波検査
腹部造影CT
腹部MRI

解答: d

100A32の解説

5年前から肝障害を指摘されている72歳男性。眼球結膜の黄染と手掌紅斑とクモ状血管腫を認め、血液検査では肝細胞逸脱酵素の上昇と血小板低下、低アルブミン血症を認めることから肝硬変が進展していると考えられる。発熱、炎症反応の上昇と腹部症状から肝硬変に伴う特発性細菌性腹膜炎の合併を疑う。
a AFPの高値を認め肝細胞癌の合併を考える。腹水の性状を検査する。
b 感染をきたしており、抗菌薬投与前に腹水細菌培養検査を行う。
c 肝細胞癌の有無の確認のためにも行うべき。
d 誤り。高度腎機能障害を呈しており、造影剤を用いることはできない。
e 肝細胞癌の合併を考慮し、腹部MRIにて精査を行う。

正答率:50%

テーマ:腎不全・肝硬変〈LC〉の検査

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