100F40

13歳の男子。学校検尿で異常を指摘され来院した。自覚症状はない。脈拍72/分、整。血圧134/78mmHg。心雑音はない。腹部は平坦で、肝・脾を触れない。眼瞼と下腿とに浮腫を認めない。尿所見:蛋白3+、沈渣に赤血球10~15/1視野、白血球2~3/1視野を認める。血液所見:赤血球420万、白血球7,800。血清生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.6g/dL、尿素窒素17mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、総コレステロール190mg/dL。腎生検の光顕PAS染色標本(A)と蛍光IgM免疫組織染色標本(B)とを別に示す。腎生検で採取された糸球体のいくつかに同様の所見を認める。
この疾患について正しいのはどれか。
小児の慢性糸球体腎炎で最も多い。
血清C3が低下する。
IgGクリアランスが増加する。
副腎皮質ステロイド薬が著効する。
予後は良好である。

解答: c

100F40の解説

学校検尿で異常を指摘された13歳の男子である。蛋白3+、アルブミン3.6g/dlであり、ネフローゼ症候群には至っていない。Aでは 分節性 〈segmental〉な硬化を、Bでは糸球体内にIgM沈着とを認める。腎生検で採取された糸球体のいくつか(巣状〈focal〉)に同様の所見を認めることから、巣状分節状糸球体硬化症〈FSGS〉の診断となる。
a 小児の慢性糸球体腎炎の頻度は0.05%前後と非常にレア。そのため、集めた症例やその年度により、最も多い疾患は違いが出そうだ。実際に調べても信憑性のあるデータは出てこない。少なくともFSGSが小児の慢性糸球体腎炎で圧倒的に多い、ということはない。
b 血清C3(補体価)は正常である。
c 正しい。尿蛋白選択性は低下し、分子量の大きいIgGも尿中に漏出するようになるので、IgGクリアランスが増加する。
d・e 副腎皮質ステロイド抵抗性であり、難治性で予後不良。

正答率:54%

テーマ:巣状分節性糸球体硬化症〈FSGS〉の特徴

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